前年度に引き続き、オーストラリア・アデレード大学にて国際共同研究を実施した。本年度は、(a)情報の非対称性のもとでの最適課税政策に関する研究、及び、(b)所得の異質性があるもとでの公共財供給に関する研究である。 (a)では、政府は個人の課税能力に応じて徴税を行いたいと思っているが、個人の能力は私的情報であり政府がその能力を正確に観察することは難しい。これまでの研究では個人が嘘をつかない条件として誘因整合性条件を制約に入れ、政府が最適税率を決定することが主流であったが、本研究は既存研究とは異なり、情報の非対称を解決するツールとして個人のgeneticsの活用を取り上げた。そして、geneticsを利用するための基本モデルの構築とその経済学的インプリケーションについて検討した。(b)に関しては、申請者が従来より研究していた公共財供給に関する論文のリバイズを行うにあたり、Myles教授に共同研究者として迎えることにより、異なった視点からの改訂を行うことができた。
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