研究課題
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
リボソームは細胞内でタンパク質を合成する装置で、翻訳の異常と細胞のがん化との関連が示唆されている。私たちは、肝細胞がんの患者においてリボソームRNAの修飾をガイドするSNORA24遺伝子の発現が特異的に低下していることを見出した。SNORA24の発現抑制によってリボソームRNAの修飾が2箇所欠損することにより、がんの悪性化を招くこと、細胞内への脂質の蓄積が起こること、リボソームへのtRNAの取り込みに変化が生じることを示した。
分子遺伝学
ヒトのリボソームは79種類のタンパク質と4種類のRNAで構成され、RNAは約200箇所で化学修飾を受ける複雑な構造体である。タンパク質や修飾の翻訳における役割は未解明であるが、様々な先天性疾患やがんとの関連が示唆されている。しかし、ほぼすべての細胞に存在するリボソームの異常がなぜ特定の疾患を引き起こすのか不明である。本研究では、RNA修飾の翻訳における役割を初めて示した。また、リボソームにmRNA特異的な翻訳調節機構が備わっていることを示唆し、疾患発症の分子メカニズムを解明する手がかりとなる。