東南アジアのラオス、ベトナム、カンボジアでは、中南米原産の外来植物が、二次林、道路脇、河岸などに優占し、在来植生を大きく変容させ、生業活動に正負の影響を与えていた。中南米原産の外来植物は、除草困難な厄介者として認識されることもあれば、同じ植物が民間薬や野菜として利用される事例も確認された。調査地における主要な外来植物は、19世紀以降の植民地化と戦争、人や家畜の移動、道路建設、焼畑耕作、栽培植物の導入にともなう、意図的あるいは非意図的な要因による移入が推察された。外来植物は移入当時の社会に影響を与えた出来事にちなんだ名前で呼ばれ、その出来事が植生景観に記憶として埋め込まれる事例も確認された。
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