研究課題/領域番号 |
17013024
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高津 聖志 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10107055)
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研究分担者 |
田村 敏生 国立感染症研究所, ハンセン病研究センター, 室長 (40291306)
刈米 アイ 東京大学, 医科学研究所, 助手 (50114450)
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キーワード | Ag85B / Peptide-25 / Th1抗原ペプチド / I-A拘束性 / IFN-γ / アジュバント効果 / トランスジェニックマウス / 細胞障害活性 |
研究概要 |
本研究では、Th1細胞の活性化を強力に惹起できる結核菌分泌蛋白由来抗原ペプチド:Peptide-25を用い、がん抗原ペプチドに対する細胞性免疫反応を有効に惹起できるシステムを確立すること、Th1細胞分化誘導の分子機構を明らかにすることを研究目的としている。 本年度は、 (1)Peptide-25によるCD8^+T細胞活性化増強機構について解析した。その結果、1)Peptide-25を介したCD4^+T細胞と抗原提示細胞の相互作用により抗原提示細胞のクロスプレゼンテーションが増強され、CD8^+T細胞の増殖・活性化が誘導されること、2)この増強にはCD4^+T細胞が産生するIFN-γが重要な役割を果たしていること、を明らかにした。 (2)Peptide-25によるTh1分化誘導機構について解析した。その結果、1)Peptide-25特異的ナイーブCD4^+T細胞をPeptide-25刺激すると、Th1特異的転写因子T-betの発現が上昇し、Th2特異的転写因子GATA-3の発現が低下しTh1細胞へ分化し、2)TCR結合部位の1アミノ酸を変異させTCRに対する親和性を低下させたペプチド刺激ではT-betの発現上昇は見られず、GATA-3の発現を維持することによってTh2細胞へと分化することを明らかにした。3)Th1細胞への分化におけるT-betの役割を検討した結果、T-bet欠損Peptide-25特異的ナイーブCD4^+T細胞はPeptide-25刺激によりTh1細胞へと分化誘導できた。T-bet非依存性のTh1細胞分化誘導機構が新たに存在する可能性が示された。 以上より、Peptide-25はTCRからTh1特異的活性化シグナルを伝達しTh1分化を誘導することによって抗原提示細胞を活性化し、クロスプレゼンテーションを増強することでCD8^+T細胞の活性化を調節しうることが明らかになった。
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