1)インプリント遺伝子座におけるアンチセンスRNAのcharacterization 昨年度より引き続いてマイクロアレイ解析より発現を確認した既知インプリント遺伝子の反対鎖から発現しているアンチセンスRNAに関して、近交系マウス同士のFlの遺伝的多型情報を用い、そのインプリント状態を解析した。現在報告されているほぼ全てのインプリント遺伝子座(インプリント候補を含む75個)のアンチセンスRNAのインプリント状態の解析を試み、発現の見られなかった5個と多型を確認できなかった25個を除いて、インプリント状態を確認した。父性発現をする遺伝子のアンチセンスRNAは父性発現をし、母性発現をする遺伝子のアンチセンスRNAは母性発現であるものがほとんどであったが、3例においてセンス鎖とアンチセンス鎖のインプリント状態が別々であった。このうち2例は既知のアンチセンスRNAであったが、1例は新規であった。 2)低分子RNA生産とRNA干渉経路の関わり より機能性の高いアンチセンスRNAをスクリーニングすることを目的とし、ヒト・マウスで高度に保存されているセンス-アンチセンス遺伝子対を選びノーザン解析を行ったところ、センス鎖とアンチセンス鎖の重なる領域から100ヌクレオチド以下の低分子RNAや、ラダー状のプロセスされたようなRNAを同定した。これら低分子RNAとRNA干渉経路との関係を追求するため条件的にDicer遺伝子がノックアウトされるES細胞を作製した。また、DicerをターゲットとしたsiRNAによりDicer RNAがノックダウンされることも確認したので、今後、これらES細胞やsiRNAを利用し、センス-アンチセンスRNAの発現とRNA干渉の関係を追求していく予定である。
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