研究課題/領域番号 |
17053014
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
福山 恵一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80032283)
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研究分担者 |
高橋 康弘 大阪大学, 大学院・理学研究科, 講師 (10154874)
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キーワード | タバコネクロシスウイルス / X線結晶解析 / 粒子形成の機構 / 四次構造 / ビリン還元酵素 / γ-グルタミルトランスペプチダーゼ |
研究概要 |
ウイルスは遺伝情報を持つ核酸とそれを取り囲むタンパク質からなる超分子複合体である。ウイルスのコートタンパク質(CP)は、三次構造をとることに加え、高度に秩序だった集合体を形成する。本研究では球状をした植物ウイルスであるタバコネクローシスウイルス(TNV)をとりあげた。TNVは180個のCPが集合してRNAを包んでおり、TNV粒子の立体構造から、N末端領域が多様なコンフォメーションをとっていることが明らかになった。さらに、この領域を削除したタンパク質(Δ85)を調製したところ、これが60個集合した粒子を形成し、またこの粒子の立体構造も2.7A分解能で決定した。TNVにおける四次構造の多様性、および粒子形成の階層性を明らかにするため、Δ85の他、Δ56、Δ62、Δ74タンパク質も調製した。ところが、これらのタンパク質は沈殿画分に表れ、正しくフォールドしなかった。Δ85タンパク質も凝集しやすい性質をもっており、Ca^<2+>イオンやpHを変えても、ホモジニアスな会合体をとらないことがわかった。 一方、ラン藻などの光合成生物はフィコビリソームという光を捕集するタンパク質-色素複合体を持っている。この色素の合成に関与する酵素(PcyA)と基質(ビリベルジン)との複合体の立体構造を決定した。これにより、基質を正確に認識するアミノ酸残基、基質の一見離れた2ケ所を順序よく、しかも立体特異的に還元する分子機構を明らかにした。 また、グルタチオン代謝の主要酵素、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ、の立体構造を決定した。さらに、アシル-酵素中間体の構造を、クライオトラップ法を適用して決定した。これらから、酵素が基質をどのように捉えているかを明らかにし、これまでの生化学・変異実験の結果に分子基盤を与えた。
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