研究概要 |
波浪による水圧変動を受ける地盤における過剰間隙水圧の発生と液状化、細粒分の流出は振動による液状化と類似していることを明らかにした。また、一次元水圧変動下におけるアマモの引き抜き抵抗を調べ、波高のモードによって引き抜き抵抗に有意な差が生じること、地盤が液状化した場合も引き抜き抵抗は存在しうることがわかった。実験結果をもとに波浪による水圧変動があるときのアマモの引き抜き抵抗評価式を導出した。また、アマモ場に近接している浚渫跡地でのアマモ場造成において、埋め戻しによる光量確保が有効であり,台風襲来のたびに実生株は減少するものの,アマモは繰り返し出現することが分かった。この他、アオサ類の堆積による受光量低下が,アマモ株密度の低下,生長抑制,実生の生育阻害を招くと推定された。 尾道市海老地区の人工干潟を対象として,地形測量、粒度分析、流況及び波浪の連続観測を実施し、台風による自然攪乱後の干潟の自立的再生過程について調査し、短期間の潮汐変化と波浪外力で,侵食後の干潟の物理環境が自己回復する物理メカニズムを考察した.また、土壌と海水の相互作用や粒度分布を考慮した新たな数値計算手法を提案し、本モデルが干潟地盤高や細粒分の維持という地形変動傾向を概ね再現できることを確認した。 太田川放水路中流域に形成された干潟地盤内の塩分変動に対するデルタ地下水の影響,および河川流出量の増大に伴う低水路干潟地盤内での塩分の変動特性を調査した。中流域干潟では太田川デルタからの地下水の流出によって洪水中においても,地盤内での塩分濃度が安定していることを明らかにした,一方、放水路河口に発達した干潟生態系の調査を継続した結果、洪水がほとんどなかった初夏のマクロベントス個体数は前年の2倍近まで増加した。夏季、季節変動により個体数は減少したが、洪水が起こった年と比較して減少は軽微であった。
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