研究課題/領域番号 |
17204001
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川又 雄二郎 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (90126037)
|
研究分担者 |
桂 利行 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (40108444)
宮岡 洋一 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (50101077)
織田 孝幸 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (10109415)
齋藤 秀司 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (50153804)
斎藤 毅 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (70201506)
|
キーワード | 代数多様体 / 極小モデル / 標準環 / 境界因子 / 対数対 / フロップ / 巨大因子 / 端射線 |
研究概要 |
Birkar-Cascini-Hacon-McKernanが証明した「代数多様体の標準環は常に有限生成である」という定理は、極小モデル理論の大いなる成果であり大きな話題となった。証明の過程では、研究代表者の長年にわたる研究成果が有効に使われた。そこで、研究代表者はHarvard大学で開催された「Current Development in Mathematics」においてこの話題に関する連続講演を行い、また日本数学会年会において同様の総合講演を行った。BCHMの定理は、境界が巨大であるような対数対に対して極小モデルの存在を証明することによって得られた。今後の残された課題は、境界の条件を取り除いて、必ずしも巨大ではない境界を持つような対数対に対して極小モデルの存在を証明することである。そこで今年度の研究では、境界の条件を取り除いて、ふたつの双有理同値な極小モデルは互いにフロップで結べることを証明した。BCHMは主定理の系として、境界が巨大であるような場合には、ふたつの双有理同値な極小モデルは互いにフロップで結べることをすでに証明していたが、この定理によれば、境界の条件が不要であることがわかったところが重要である。高次元の極小モデル理論では、極小モデルは存在したとしてもただひとつにはならない。そこで、複数の極小モデルの間の関係が重要になるが、この定理はフロップと呼ばれる基本的な操作を繰り返すことによって極小モデルの非唯一性が解消できることを示している。この結果の証明では、以前に証明した端射線の長さを抑える定理が有効に用いられる。
|