研究課題
1.木材輸送エネルギーと環境負荷との関係について、環境経済学的論理付けと政策面からの分析を行い、原油価格や為替相場の変化が強く影響すると共に、地球温暖化対策をはじめとする政策の影響が現出することが分かった。また、森林環境税の内容と意義を検討し、利用や輸送の面から地域内での木材利用が重要であることを示した。2.国内製材業の製品出荷を対象として、ウッド・マイレージを算出し、変化動向の分析と変化要因の検討を行った。その結果、(1)平均輸送距離は、1962〜1980年に縮小し、1980〜2002年に拡大したこと、(2)1980年以降、出荷量が多い県ほど遠くに出荷する傾向が顕著に強まっていること、(3)県ごとの平均輸送距離のばらつきは、1962〜1980年に平準化の方向にあったが、それ以降は再び拡散していること、(4)平均輸送距離の変化には、素材・製品市場の構造変化と、それに伴う製材業の生産力配置の変化が強く影響していることを明らかにした。3.米国、ニュージーランド、ドイツ、フィンランドにおいて、林産物の生産量と消費量、貿易量、輸送距離、輸送エネルギー、木材加工に関する情報・資料収集を行い、それらを分析した。その結果、(1)米国、ニュージーランド、フィンランドでは、日本と同様に特定の港に貿易が集中すると共に、その周辺に木材産業が集積していること、(2)森林資源構成の変化や木材産業の立地の変化に伴い原木輸送距離に拡大傾向が見られ、集荷圏として工場から100km迄のウェイトが高まっていること、(3)原油価格高騰により、比較的近い距離ではトラック輸送が殆どで、遠い距離では鉄道や内航海運の利用もあること、(4)乾燥エネルギーに木質バイオマスの利用が進んでいることを明らかにした。尚、当初は英国での調査を予定したが、テロ事件の発生により当該年度と次年度の調査を入れ替え、ドイツを対象に調査した。
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林業経済 58・10
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山林木材情報 170
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