研究課題
米国、カナダ、ニュージーランド、フィンランド等の主要国での調査結果の主な内容は次のとおりである。(1)輸出国内の木材輸送には大型トラックを用いることが多く、150km圏を中心として片道300km程度までは40〜60m^3積載のトラック輸送(燃費は多くの林産物輸出国で約2km/l)で行われ、300km超のような特別な場合には貨車を用いる。60m^3積載トラシクが往復300km走行する場合を仮定すると、ディーゼル燃料150lを消費し、原木輸送は2.5l/m^3のエネルギー効率となる。(2)北米沿岸部での原木調達では、内航船のバージ(1.5〜1.7万m^3積載)による輸送の加わることが多い。北米の業界資料によると河川バージの燃費はトラックの1/8程度であることから、輸送過程におけるエネルギー消費原単位はトラックが著しく高く、沿岸部における木材輸送の消費エネルギーは相対的に低くなる。(3)日本向け木材輸送船には大小があり、北米やニュージーランドからは3万トン級(約3万m^3積載)以上、東南アジアからは7千トン級(約7千m^3積載)、ロシアからは3千トン級(約3千m^3積載)、オーストラリア等の木材チップには5万トン級の船舶が用いられる。1船当たりの総輸送エネルギーには大きなバラツキが認められ、大型船による北米やオセアニアからの輸送ではエネルギー消費量が多い。だが、総輸送エネルギーを積載量で割って求めた1m^3当たり原単位でみると、北米材の輸送に比べてロシア材や南洋材の輸送により多くのエネルギーを消費し、その値は3倍近くの開きがある。以上のように、木材輸送における1m^3当たりエネルギー消費量が主要な産地ごとに明らかになった。ことにより、ウッド・マイレージの算出方法の改善、さらには木材のライフサイクルアセスメントに向けて有用な知見を得ることができた。
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地域政策研究 10(4)(掲載確定)
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