研究課題/領域番号 |
17340036
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
重川 一郎 京都大学, 理学研究科, 教授 (00127234)
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研究分担者 |
吉田 伸生 京都大学, 理学研究科, 助教授 (40240303)
日野 正訓 京都大学, 情報学研究科, 助教授 (40303888)
上木 直昌 京都大学, 人間環境研究科, 助教授 (80211069)
会田 茂樹 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (90222455)
高信 敏 金沢大学, 理学部, 教授 (40197124)
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キーワード | ブラウン運動 / Wiener空間 / 確率解析 / スペクトルの跳び / 対数Sobolev不等式 / Witten Laplacian / Dirichlet形式 / Wiener測度 |
研究概要 |
無限次元空間における確率解析の問題に関連し、一つの方向として幾何学的な観点から考察を進めた。手法的にはDirichlet形式などの関数解析的な方法を用いる。ここで考察したのは格子スピン系であり、近接ポテンシャルから定まるGibbs測度を基にL^2型の勾配作用素からDirichlet形式を定義し、それから定まる作用素を考察してそのスペクトルを調べた。一つの主題はHodge-Kodaira作用素のスペクトルまで調べることである。既にBodinaux-Hellferによって1-formの場合が調べられているので、そのp-formの場合への一般化を行った。ポテンシャル関数が凸の場合はスペクトルの跳びや、対数Sobolev不等式が容易に示せるが、それに摂動を加えた場合、摂動項が小さい場合は一般のp-formの場合にもスペクトルの跳びが存在することを示した。 他の話題としては、生き残り拡散過程の概念を導入し一次元拡散過程の場合に生き残り拡散過程が存在する十分条件を求めた。生き残り拡散過程は、有限時刻まで生存するという条件付確率を時刻を無限大にした極限として定義する。この問題は不変関数の存在問題と関連しているが、一次元の場合には常に不変関数が存在することが示せ、その不変関数によるh-変換が生き残り拡散過程であることを示した。Bessel過程などの場合は特殊関数を用いて具体的に計算が行え、豊富な例が存在することも分かる。もっと多くの場合に具体的な形を求めることは今後の課題である。 また、この科研費により、毎年開催している「確率解析とその周辺」シンポジウムを今年度も開催し、参加者の旅費の補助を行った。フランスよりRemi Leandre教授の参加があり、Malliavin解析や無限次元解析の講演をしていただいたのは有意義であった。
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