研究課題/領域番号 |
17340036
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
重川 一郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00127234)
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研究分担者 |
熊谷 隆 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90234509)
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キーワード | 格子スピン系 / スペクトルギャップ / Hodge-Kodaira作用素 / 超縮小性 / 非対称半群 / リーマン多様体 / 拡散過程 / 不変測度 |
研究概要 |
格子スピン系に対して、Hodge-Kodaira作用素に対し、高次元の調和形式が存在しないことを示した。格子スピン系はポテンシャルとしてΦ(x)=Σ_{i〜j} J (x_i-x_j)^2+Σ_{i} U (x_i)を考え、形式的なGibbs測度Z^{-1}e^{-Φ(x)}dxを与えたものを考える。Uが一様に凸の場合は容易にスペクトルギャップの存在が示せるが、Uに有界な摂動を加えても、摂動が小さいときはやはりスペクトルギャップが存在し、高次の微分形式に作用するHodge-Kodaira作用素に対して、調和形式が存在しないことを示した。 これとは別に、一般に非対称な枠組みで半群が超縮小性を持つための必要十分条件を求めた。扇形条件を満たすDirichlet形式から定まる半群の場合と、双対半群もマルコフ性をもつマルコフ半群の場合を取り扱うことが出来た。応用としてコンパクトなリーマン多様体上の非対称拡散過程の基本解の指数収束性のオーダーを調べた。拡散過程は一様楕円性が満たされる範囲で考察した。結果として不変測度が同じ場合は対称な場合が最も収束が遅いことが分かった。現在の段階では不等式のみが示せているが、実際に収束の速い非対称なものが存在するかは将来の問題として残っている。正規作用素の範囲では、対称な場合と収束の速度は同じことが示せるので、それ以外の場合を考察する必要がある。さらに、一般のコンパクト性を仮定しないリーマン多様体の枠組みで非対称な拡散過程を考察し、定義域を台がコンパクトな滑らかな関数にしたものの閉包が、縮小半群を生成するための十分条件を与えた。微分作用素の一階の部分が線型の増大度しか持たない場合がふくまれている。
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