研究概要 |
細胞の機能とその仕組みを解明するため,細胞が環境中の外部刺激に対してどう反応し,どう状態を変化させるのかを計測するためのシステムの基盤技術に関して研究を行った.主な研究項目を以下にまとめる. (1)三次元レーザマニピュレーション:対象物を三次元空間で探索し,目標物を高速に操作するための三次元レーザマニピュレーションを実現した.従来のガルバノミラーの二次元走査に加えて,対物レンズを上下方向に駆動することで,レーザの焦点位置を三次元的に制御した.このとき,CCDカメラの撮影タイミングを対物レンズの駆動タイミングと連動することで,画面のプレをなくすことに成功した. (2)熱ゲルツールの三次元操作:温度変化によってゾル・ゲル相転移をおこす熱ゲル化物質を用い,三次元軌道制御手法を確立した.脂質ナノチューブの三次元操作が可能となった. (3)オンチップ限定空間形成:光硬化性樹脂を用いてマイクロチャネル内に垂直半透膜を形成し,マイクロチャネル内に限定空間をその場形成した. (4)三次元マルチスケール操作を用いたオンチップ限定空間における細胞計測:三次元レーザ操作とバイオチップ内部の流体制御を組み合わせて,mmスケールからnmスケールにわたるマルチスケール操作システムの基礎技術として,流路の作成を行った.フォトリソグラフィ技術により,任意形状の流路を製作した.シリコン基板をDRIEで加工して型にする方法と,厚膜レジストを露光して型にする方法が利用できる.型からPDMS(ポリマー)で流路をかたどり,ガラス基板を張り合わせることで流路を製作した.このチップを用いて,細胞の長距離搬送やサブセルラーレベルの三次元操作を行った.また,限定空間に細胞を搬送しオンチップ細胞分離・培養実験を行うための環境を構築した.
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