研究分担者 |
横田 勝 富山大学, 芸術文化学部, 教授 (10029225)
野城 清 大阪大学, 接合科学研究所, 教授 (40029335)
池野 進 富山大学, 工学部, 教授 (70115129)
本保 栄治 富山県工業技術センター, 評価技術課, 主任研究員 (50416137)
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研究概要 |
二元同時反応スパッタ法を採用し,BNはターゲットからBNクラスター粒子を基板上に蒸着し,積層型および混合型の2種類のTiAlN/BN複合化膜の作製を試みた.TiAlN相の形成にパルスDC電源を導入し,製膜条件の許容範囲を拡げた. この製膜条件と膜の微細構造などとの関係を調べた.膜の微細構造をXRD, XPS, HRTEMなどで調べ,製膜条件と微細構造及び諸特性との関係を検討した. 1 TiAlN反応スパッタ条件に及ぼすパルスDC電源の効果 Ar+N2混合ガスによる反応スパッタでTiAlNを作製する場合に,通常のDC電源では異常放電を防ぐため1〜1.5kW程度以下の投入電力しか使えず,製膜速度に大きな制限があった,パルスDC(100kHz)を用いると,3kW以上の電力も使用可能であり,製膜速度が2倍以上に向上するので,混合比率などの許容範囲が拡がる. 2 TiAlN/BN積層膜 (1)積層膜の場合,TiAlN層の結晶成長を遮断するためには,BN層の厚さは1nm以上必要であった. (2)BN層の厚さを1nmに固定し,TiAlN層の厚さを変化させると塑性硬さHplが向上するが,TiAlN層の厚さ8〜10nm以上になると塑性硬さは減少する傾向を示した. (3)TiAlN/BN(10nm/1nm)×200層の積層膜で26GPaの塑性硬さを得たが,TiAlN単層膜よりも低い値であった. 3 TiAlN/BN混合膜 (1)TiAlN/BN膜中のBNの混合比(体積比)を0〜28%まで変化させ,膜の塑性硬さHplを評価したところ,約14vol%程度のBNの混合により,43GPa以上の高い塑性硬さを得た. (2)得られた膜の微細構造を高分解能TEMなどで観察したところ,10〜20nm程度の微細なTiAlN粒子で構成され,粒界が不明瞭であることがわかった. (3)XPS分析の結果,この膜中にはBN結合相が存在することもわかった. 以上
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