研究分担者 |
野城 清 大阪大学, 接合科学研究所, 教授 (40029335)
池野 進 富山大学, 理工学研究部, 教授 (70115129)
長柄 毅一 富山大学, 芸術文化学部, 准教授 (60443420)
本保 栄治 富山県工業技術センター, 評価技術課, 主任研究員 (50416137)
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研究概要 |
1.CrAlN膜の微細構造と機械的性質 Cr/Al=(50/50)ターゲットを用いて、反応スパた方によりCrAlN膜を作製するための最適条件を検討した。その結果、Arガス流量=15sccm,N_2ガス流量=30sccm,パルスDC周波数=160kHz,デューティ比=86%,基板温度150℃で塑性硬さHpl=30〜35GPaの値を得た。この条件で膜を作製すると電源機器の負荷も少なく安定してこの特性が得られることがわかり、これを標準条件として研究を進めた。 2.CrAlN系ナノコンポジット膜の作製と微細構造 上記標準条件のCrAlNと非晶質炭素(a-C)との複合化を図り、ナノコンポジット膜を作製した。a-C膜はDCスパッタ法,CrAIN膜はパルスDCスパッタ法を用いた。a-Cの混合比を変えてナノコンポジット膜を作製したところ、約10vol%の混合比でHpl=43GPaの高い値を得た。XRDおよびTEM等による構造解析の結果、TiAlN/a-C膜と同様に、遷移金属窒化物の微結晶と非晶質炭素によるナノコンポジット膜特有の構造を有していることがわかった。 3.製膜メカニズムの検討 本年度新たに導入したOptical Emission Spectroscopyを使用して、作製条件によるプラズマ中のイオン種の差異について検討した結果、デューティ比を86%から78%に減じた場合に、ArおよびN2のイオン化率が上昇することがわかった。このことが膜の微細構造や機械的性質に影響を与えているものと考えられる。 4.実用可能性の検討 TiAlN/a-Cナノコンポジット膜でエンドミルをコートし、アルミニウムの切削試験に供したが、DLCコート品に比べて、アルミの凝着は若干悪い結果(凝着幅:試作品:0.2mm,DLCコート品:0.15mm)となり、TiAlNとa-Cの適切な組成比の更なる検討が必要であることが分かった。
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