研究概要 |
本年度は,2つのPOD推進器を前後にかつ2重反転となるように配置させる方式(タンダム型と呼ぶ)に着目し,このタンデム型POD推進器を有する船舶(タンデム型POD船と呼ぶ)の操縦性能について検討した。前年度に実施した国内初の電気推進船「千祥」をベースにタンデム型を図った「タンデム千祥」の操縦流体力の拘束模型試験結果をもとに,操縦運動シミュレーション計算を実施し,操縦運動特性を把握した。「タンデム千祥」はPOD推進器の配置の関係上,センタースケグを小さくせざるを得ず,その結果,オリジナル「千祥」と比較して,針路安定性が大きく損なわれることが分かった。これを解決すべく,舵を40%程大型化すること,さらにセンタースケグをやめて,サイドにスケグを2枚配置する「タンデム千祥」の改良案を提示した。この改良案により,操舵力が増加し,かつ針路安定性を解決する見通しを得た。 さらに,操縦性能に関する基礎となるデータを取得するため,「千祥」模型船を用いて,舵を無くして首振り型のPOD推進器とした場合(pull型とpush型)の流体力特性の計測を行った。その結果,pull型は,push型と比較して,操舵力が大きくかつ針路安定であり,優れていることが分かった。これはpull型推進器のストラット部が舵のような作用をしているためであることが分かった。これらのデータは,今度出てくる考えられる首振り型POD推進器を備えた船舶の操縦性検討において,有益な資料となりうる。
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