研究概要 |
流体流動電位法は、地下の資源流体(石油,地熱流体,地下水等)を可視化するためのモニタリング探査法で、地下の比抵抗構造と同時に、地下流体が流動するときに発生する流動電位を観測することにより流体挙動を把握することができるハイブリッドな探査法である。この流体流動電位法を用いてリアルタイムにデータ取得及びデータ解析を行なうためには、フィールドにおいて高速サンプリングが可能な可搬型の測定システムの開発及び、そのシステムを制御する制御プログラムと高速なデータ解析プログラムの開発が不可欠である。本研究では、流体流動電位法の計測システムの高度化に関する以下の研究開発を実施した。 平成17年度に開発した計測システムのサンプリング間隔は最大で0.1secであり、地下の流体挙動が比較的緩慢な場合には十分であるが、地熱流体の生産/還元時または石油の強制回収時のように、地下流体の挙動が急激に変化すると予想される場合には、それに伴う高速な流動電位の変化を見落とす可能性がある。そこで平成18年度では、高速サンプリングが可能なA/D変換ボードを組み合わせた128チャンネルの高速計測システムを開発した。この計測システムのサンプリング間隔は1msec以上あり、急激に変化する流動電位も計測可能である。 また、リアルタイムでデータ解析を行なうためには、計測したデータを高速に逆解析するプログラムが必要である。本年度は自然電位データを解析するために、免疫アルゴリズムを応用したデータ解析プログラムを開発した。免疫アルゴリズムは、人間の免疫システムを模倣したアルゴリズムで、複数の解を持つ多峰性関数の最適化に有効であることが知られている。今回開発した解析プログラムで、複数の電流源を有する自然電位データから、各電流源のパラメータを推定できることがわかった。
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