研究概要 |
流体流動電位法は、地下の資源流体(石油,地熱流体,地下水等)を可視化するためのモニタリング探査法で、地下の比抵抗構造と同時に、地下流体が流動するときに発生する流動電位を観測することにより流体挙動を把握することができるハイブリッドな探査法である。この流体流動電位法を用いてリアルタイムにデータ取得及びデータ解析を行なうためには、フィールドにおいて高速サンプリングが可能な可搬型の測定システムの開発及び、そのシステムを制御する制御プログラムと高速なデータ解析プログラムの開発が不可欠である。本研究では、流体流動電位法の計測システムの高度化に関する以下の研究開発を実施した。 平成18年度には、高速サンプリング(サンプリング間隔1msec以上)が可能なA/D変換ボードを組み合わせた128チャンネルの高速計測システムを開発したが、計測装置全体の大きさ等にやや問題があった。そこで、平成19年度は、32チャンネルのA/D変換モジュールを組み合わせたコンパクトな計測システムを開発した。この計測システムは前年度の計測システムの半分程度の大きさであり、最大256チャンネル(32チャンネル×8)の同時計測が可能である。 新規に開発した計測システムを用いて、鹿児島県指宿市の山川地熱発電所の周辺地区で、流体流動電位法調査を実施した。平成19年の6月には、予備調査として発電所構内の6点で観測を行なった。その結果、熱水還元に伴う顕著な流動電位の変化を計測することができた。平成19年の12月には、発電所周辺の約1km×1.5kmの調査範囲で流体流動電位法の本格的な調査を実施した。観測で得られた流動電位データを解析した結果、還元ゾーンを支配する断層の位置や、地下浸透流の流動方向等を推定することができた。
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