研究課題
基盤研究(B)
(1)マウスHtrA1の出生以後の発現パターンを骨格系に重点を置いて検討した結果、軟骨ではHtrA1は、軟骨基質の石灰化と細胞死へ向かう最終的に分化した肥大軟骨細胞が発現し、骨では骨基質を分解する扁平骨芽細胞と骨の中に閉じ込められた骨細胞が発現していた。(2)マウスでリューマチ性関節炎のモデルと考えられる実験的関節炎を誘発させると、関節軟骨内のHtrA1の量が数倍上昇した。正常では関節軟骨にほとんど存在しない肥大軟骨様の細胞が増殖し、これらがHtrA1を産生していた。関節炎におけるHtrA1の発現は正常の軟骨分化過程を反映している。(3)HtrA1遺伝子破壊マウスを作成した。KOマウスは正常に発育し繁殖した。主に骨格系の異常について組織学的な検索と、造骨能について機能的な解析を行った。KOマウスでは、新生児期の二次骨化中心の周囲で、オステオカルシンとタイプXコラーゲンを産生する細胞が増加しており、軟骨細胞の分化に異常があることが示唆された。(4)KOマウスにリューマチ性関節炎を誘導したが、関節炎の発症や症状は野生型と差が無かった。(5)HtrA3の遺伝子破壊マウスを作成するためのES細胞を取得した。ダブルKOマウスを作成して表現形を解析する。(6)立体構造を解明するため全長のHtrA1タンパク質をCHO細胞やPichia酵母で大量調製することを試みた。CHO細胞では充分な量が取れなかった。Pichiaを使った産生を試みる。(7)HtrA1は、細胞外への分泌経路中で変性したコラーゲン分子の両端を削る活性があることが明らかになった。コラーゲンの品質管理の関わる可能性が示唆された。
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Bone 37
ページ: 323-336