研究課題
基盤研究(B)
テロメラーゼは抗がん剤研究の有力な標的である。本年度、FLAG標識hTERT発現HeLa細胞のヒトテロメラーゼ複合体とhTERTと相互作用するヌクレオリンの生物的機能の解析(村上)、hTERT発現による不死化ヒト初代細胞系の解析(本多)、更に細胞の増殖・分化などに重要な役割を担う受容体型チロシンキナーゼの解析(善岡)を行った。得られた主な結果は、1)HeLa細胞にFLAG-hTERTを導入して得られた活性型組み換え型テロメラーゼは、昆虫細胞系2成分発現ヒトテロメラーゼ複合体と類似して、分子篩法で2種類の複合体(IとII)に分画された。Hsp90を含まず、Hsp90阻害剤に耐性の複合体Iと、Hsp90を含む後者の複合体IIは、Hsp90阻害剤に感受性を示し内在性及びFLAG標識hTERTは共に不安定であった。また内因性hTERTとFLAG-hTERTの大半は複合体Iに分布した。ヌクレオリンが複合体Iに含まれ、複合体IIには殆ど含まれない。これらの結果は、細胞内で異なる2種類の活性型テロメラーゼ複合体が存在し、テロメラーゼの異なる局在或いは活性型テロメラーゼの異なる機能を示唆した。2)hTERT発現レトロウイルスベクターをヒト正常線維芽(BJ)細胞に感染させ、hTERT発現細胞が不死化した細胞株を樹立した。ジーンチップ解析では、hTERT導入不死化BJ細胞ではBJ細胞に比較し、細胞増殖、細胞周期に関与する因子の発現亢進が認められた。3)hTERTと特異的に相互作用するヌクレオリンは、C型肝炎ウイルス(HCV)複製に必須であることが、ヌクレオリン結合性を消失したHCV NS5B変異を持つHCVサブレプリコン系ではHCV複製が全く起きないことと、RNAi法でヌクレオリン発現が低下した細胞では、HCV複製が大きく低下する結果により示された。
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