研究概要 |
最終的には逆形不偏ゲームの戦略がテーマであるが,主に直和の観点からゲームの同値性を調べて行くことが,既にこの種の戦略分析の基本的な手法となっている。研究は,この手法により既知となっている事実を確認し,さらに個々の局面の調査により,これらの知見を増やすことを当面の目標としてスタートした。 順形不偏ゲームの場合,同値なゲームは同じGrundy値を持ち,しかも直和ゲームのGrundy値は要素ゲームのGrundy値の排他的論理和になることが分かっているので,ゲームの各局面を調べることにより,ゲーム戦略に関するほとんど全ての情報が得られる。 逆形ゲームについてもGrundy値は定義でき,それは個々の局面での戦略についての情報を与えてくれるが,直和ゲームのGrundy値は,要素ゲームのGrundy値から決まるわけではない。したがって,一般の逆形ゲームについてはGrundy値を求めるだけでは戦略を考える上で不十分である。 ゲーム局面には,(Grundy値を拡張して)種数を定義される。種数を求めることができれば,より多くの戦略情報を得ることができ,実際,ある種のゲーム局面族は,比較的容易に種数を求めることができる。特に「従順な」ゲームは限られた形の種数しか持たない。中でも「遺伝的に従順な」ゲームは,「平坦な」ゲームと全く同じであることが分かった。 より複雑な戦略を持つゲームとしては,「半従順」,「馴化可能」,「restive」,「restless」などがあるが,これらに分類可能な局面にどういうものがあるかも多少分かってきた。
|