研究概要 |
自動車の運転時に用いる情報機器であるカーナビゲーション・システムでは、安全面及び利便性において装置の音声操作は非常に有効なインターフェイスとして機能している。しかし、カーナビゲーション・システムにおける音声認識は、自動車の走行雑音などによる認識率の低下は避けられず、実用上の問題点ともなっている。本研究では、カーナビゲーション・システムのような比較的小規模なシステムでも実現可能な音声雑音除去手法の開発を目指している。 本研究では,音源(コマンド発声話者)の方向を推定し,その情報を用いて雑音除去を行う手法の開発を目的としている。従って,開発には,1)音源方向推定と2)雑音除去の2つの技術開発が必要である。本年度は,2)の雑音除去手法について,DSPへ実装を行い,実装可能性の実証実験を行った。 研究計画では,本年度は方向推定手法と雑音除去手法のシミュレーション実験を行い,手法の精密化を図る予定であったが,研究途上において手法のDSP上への実装が危ぶまれる懸念が生じたため,現時点でのシステムをDSP上へ実装する作業を前倒しした。その結果,現時点での最適化されていないシステムでも,8kHzサンプリングの音声信号に対して,DSP上へのプログラム実装で雑音除去処理が可能であることを実証した。 ただし,DSP上で音源方向推定も同時に行うには,雑音処理手法の高速化が必要であることも判明した。今後,音源方向推定はメインCPU上で行い,雑音除去はDSP上で行う分業システムと,両方の処理を一括してDSP上で実行するシステムの両方について,検討を進めることにしている。
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