研究概要 |
1.複合脂質膜のヒト乳がん細胞増殖抑制効果 DMPC/5mol%C_<12>(EO)_n(n=4,10,21,23,25)複合脂質膜のヒト乳がん(MDA-MB-453)細胞に対する50%増殖抑制濃度(IC_<50>)の検討を行った。DMPC/5mol%C_<12>(EO)_n(n=4,10,21,23,25)複合脂質膜はヒト乳がん(MDA-MB-453)細胞に対してDMPC単一リポソームと比べ、IC_<50>が約1/2以下と増殖抑制効果が向上することが明らかとなった。 2.複合脂質膜のヒト乳がん細胞に対する制がんメカニズム ヒト乳がん(MDA-MB-453)細胞に対するDMPC/5mol%C_<12>(EO)_n(n=4,10,21,23,25)複合脂質膜のTUNEL法による蛍光顕微鏡観察を行った。DMPC/5mol%C_<12>(EO)_n(n=4,10,21,23,25)複合脂質膜は緑色に染色され、アポトーシスを誘導することが明らかとなった。一方、DMPC単一リポソームでは緑色に染色されなかった。 3.アポトーシス誘導のシグナル伝達 DMPC/5mol%C_<12>(EO)_<23>複合脂質膜のヒト乳がん(MDA-MB-453)細胞に対するCaspase-3,-8-9活性を検討した。Caspase-3は0.5時間から2時間で活性を示し、その後、6時間後まで活性を維持していた。Caspase-8およびCaspase-9は1時間から3時間で活性を示した。次に、ミトコンドリアの関与について検討した。複合脂質膜の添加により、ミトコンドリアの膜電位の減少がみられた。以上のことからDMPC/5mol%C_<12>(EO)_<23>複合脂質膜のヒト乳がん細胞に対するアポトーシス誘導においてはCaspase-3,-8,-9およびミトコンドリアが関与していることが明確になった。
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