スポーツNPOの現代的意味とその経営課題を、ソーシャルキャピタル(SC)の蓄積という視点から検討した。具体的には、研究対象となるスポーツNPOを、現在全国各地でその育成が行われている総合型地域スポーツクラブを対象に、そのアソシエーション特性とSCを検討した。SCのとらえ方としては、総合型クラブの育成段階から総合型クラブ設立後に形成された組織間ネットワークの状況として捉えた。調査は、704クラブを対象に郵送法にて調査票を配布し(2006年11月9日〜26日)、281クラブから回答を得た(有効回収率39.9%)。 スポーツNPOとしての総合型クラブを、NPO法人格を持つ総合型クラブと所有しないクラブに分類し、また後者をクラブの規模別に分類し、クラブ特性、アソシエーション特性、組織間ネットワークの状況を検討した。法人格を取得したクラブほど住民の認知度は高く、会員数も増加していた。さらにクラブの運営も組織的に行われ、開かれたアソシエーション特性も持っていた。この傾向は、法人化組取得のクラブの中でも会員規模の大きなクラブにも同様の傾向が見られた。SCとの関連では、法人格取得クラブは、クラブ設立後も多様な組織に働きかけていたものの、協力関係の形成については規模別未法人格取得のクラブとに差は見られなかった。一方、地域のスポーツ振興体制の整備や住民間のつながりが高い地域ほど組織間の協力関係が形成されており、既存のSCの蓄積が総合型クラブの設立にとって重要な要因であることが示唆された。
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