研究課題/領域番号 |
17510050
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
閔 庚善 神戸学院大学, 栄養学部, 助手 (60140406)
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研究分担者 |
田中 慶一 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (90068247)
鉄地川原 典子 神戸学院大学, 実験助手 (20299069)
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キーワード | カドミウム / 消化管吸収 / 生体微量金属栄養 / 体内蓄積 |
研究概要 |
日本の食生活で欠乏あるいは過剰摂取することが考えられる微量金属として、栄養機能食品として認定された鉄、亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウムの栄養状態を変化させ、カドミウム(Cd)の消化管吸収および体内蓄積量に及ぼす影響について検討した。AIN-93M配合飼料のミネラル混合から炭酸あるいは酸化金属を欠くことにより、欠乏食の金属濃度はコントロール食の1-20%に低下させた。これらの金属欠乏食をマウスに与えると、2-4週間で肝臓および腎臓金属濃度は有意に減少し、特に鉄欠乏群で顕著に減少した。一方、これらの微量金属の1日摂取量の二倍量(5回/週)を2週間経口投与した過剰摂取群では体内微量金属濃度の大きな変化は認められなかった。また、フェニルヒドラジンによる溶血性貧血モデルマウスではヘマトクリットの減少に伴い、肝臓及び腎臓鉄濃度の有意な増加が認められた。これら微量金属欠乏マウスにカドミウムを1回経口投与すると、どの微量金属欠乏群でも肝臓や腎臓のCd蓄積量は有意に増加し、亜鉛や銅欠乏マウスでは小腸Cd濃度も有意に減少した。特に、鉄欠乏群では顕著なCdの体内蓄積が認められた。鉄や亜鉛欠乏群では、Cdの経口投与量の増加に伴って、体内Cd蓄積量は有意に増加し、特に肝臓蓄積量が顕著に増加した。一方、微量金属過剰摂取群ではCdを経口投与しても有意なCdの体内蓄積は認められなかった。また、溶血性貧血マウスでは、鉄欠乏群とは反対に肝臓鉄濃度が有意に増加したにもかかわらず、Cdの体内蓄積量は顕著に増加した。したがって、Cdの体内蓄積には食品汚染濃度や摂取量だけでなく、生体の微量必須金属の栄養状態、特に微量金属の欠乏および貧血がCdの体内蓄積のリスクファクターになることが示唆された。
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