研究課題/領域番号 |
17510050
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研究機関 | 大谷女子大学 |
研究代表者 |
閔 庚善 大阪大谷大学, 薬学部, 准教授 (60140406)
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研究分担者 |
田中 慶一 大阪大谷大学, 薬学部, 教授 (90068247)
上田 英典 大阪大谷大学, 薬学部, 助教 (50419462)
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キーワード | カドミウム / 消化管吸収 / 金属トランスポーター / 生体微量金属 / 体内蓄積 / ミネラル欠乏 |
研究概要 |
国民健康栄養調査の結果から、日本人の食生活では鉄やカルシウムなどのミネラル摂取量が食事摂取基準に対して不足している。近年、鉄欠乏時には摂取した食品汚染物質であるCdの体内蓄積量が増加し、それには小腸二価金属トランスポーターが関与していることが報告され、このような微量金属欠乏が栄養学的な問題点だけでなく、非生体成分である有害重金属の代謝にも影響を及ぼす可能性がある。我々は既に鉄だけではなく、カルシウムなどの微量金属鉄欠乏によって、肝臓や腎臓の蓄積量が増加すること、さらに、種々の小腸微量金属輸送系でCdが生体内に取り込まれることを明らかにした。本研究では、小腸から血中に吸収されたCdの蓄積臓器である肝臓や腎臓への取り込みに対する微量金属栄養状態の影響を検討した。栄養機能食品として認められている5種の金属の欠乏食およびコントロール食の自由摂取、あるいは過剰量経口投与したマウスに、Cdを連続腹腔内投与し、その24時間後に安楽死させ、臓器Cd濃度並びに微量金属濃度を測定した。また、肝臓MTおよび金属トランスポーターの発現量はCd-hem法あるいはRTrPCRによって測定した。微量金属欠乏食摂取マウスの肝臓では欠乏金属濃度が低下したが、反対にカルシウム欠乏食などでは肝臓鉄や亜鉛濃度が顕著に増加した。この微量金属欠乏マウスにCdを経口投与した場合では、臓器Cd濃度が顕著に増加したのに対し、Cdを腹腔内投与した場合では、臓器Cd濃度の有意な増加は認められなかった。つまり、食事性の微量金属欠乏は小腸の金属トランスポーターの発現を増加させ、それに伴って、食晶汚染重金属であるCdの体内蓄積量も増加する.と考えられる。したがって、日本の食生活での微量金属欠乏が食品汚染物質であるCdの体内蓄積増加の生体側リスクファクターになることを明らかにした。
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