研究課題
基盤研究(C)
1.保険契約法の観点からは、ファイナイト保険については、保険契約の法形式をとって行われたとしても、そのリスク移転がわずかで、実質的に見て、金銭の預託契約にすぎないものなどがありうるので、それらについては、保険契約としての規律を及ぼすばかりではなく、その実質に応じた法的規律も行う必要のある場合がありうるとした。とくに、会計や税務の観点からは、その実体に応じた規制が行われるべきであるとした。他方、保険デリバティブの基本的性格は、リスク移転を目的とする「権利」の売買(オプション型)または交換もしくは両替類似の契約(スワップ型)であるが、保険デリバティブを束にするリスク集積とリスク分担の仕組みを整えるものは、保険の実質を有してくるので、保険契約としての規律を及ぼす必要のある場合がありうる。この場合には、定額保険契約の規律の適用が考えられる。しかし、保険の実質を備えない保険デリバティブに関しては、保険による利得を禁止した原則との関係では、契約自由の原則の下にあるという方向での解決が望ましいという結論となった。2.保険業法の観点からは、種々の保険取引規制があるが、基本的に保険契約としての性質決定が行われれば、それは、保険事業の固有業務と考えられるが、法形式上、保険契約となっていても、実態が異なるものについては、その実体に応じた規制が業法上の規制でも採られるべきであるという立場が適切であるという見解に至っている。3.なお、証券取引法上の問題にも検討を及ぼそうと試みたが、これは、補論で内部者取引規制に関わる解釈問題を検討する段階までの進捗度である。
すべて 2007
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立命館法学 310号
ページ: 210-226
中京法学 41巻1号(近刊予定)
RITSUMEIKAN LAW REVIEW No.310
CHUKYO LAW REVIEW Vol.41,No,1
K. SHIOZAKI, S. AMEMIYA and T, YAMASHITA, "Financial Transactions Law"