本年度は、以下に示すように3つの作業を行なった。 (1)非行少年を抱えた家族どうしが協力して問題解決をめざす全国組織として、「非行少年の親の会」というセルフ・ヘルプ・グループの全国ネットが存在し、近年は法曹界からも大いに注目されている。その活動内容を詳細に把握すうために、その全国大会に参加して、ワークショップへの参与観察を行なった。この全国集会には、非行少年を抱えた家族が全国から集まる。そこでは、それぞれの抱えている問題がじかに話し合われるために、問題を抱える家族の生の声に接することができ、非常に詳細なデータの収集を行なうことができた。 (2)上記の「非行少年の親の会」で事務局代表を務めている春野すみれ氏、非行少年の家族を含めた加害者側と、その被害者側との対話の機会を設けている弁護士で「対話の会」代表の山田由紀子氏、法務省の保護観察官として長年にわたり非行少年の立ち直りを支援し、そのなかで多くの非行少年の家族とじかに関わってきた、現在、福島大学教授の生島浩氏をお呼びし、日本犯罪社会学会2008年度大会の場を借りて講演を行なっていただいた。その中で、それぞれの専門家としての見地からの多くの情報を得ることができた。 (3)また、調査作業と同時並行し、非行少年を抱えた家族の抱える問題点をより詳細に把握し、論点の整理を行なうために、一般の著作物や雑誌を各方面から入手し、その内容分析の作業も進めた。
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