研究概要 |
ある環Aとそれに付随して得られる環Bについて、A加群とB加群のゴレンステイン次元の関係を明らかにすることにより、環A,Bのゴレンステイン性を中心に研究した。特に環Aがフィルター環である場合を研究した。その結果 (1) 両側A加群Cに付随する両側 grA加群 grCが半双対化加群ならばC自身が半双対化加群である。 (2) grCの左C加群としての入射次元と右C加群としての入射次元が有限ならばCの左A加群としての入射次元と右A加群としての入射次元は有限である。更に,grCの左右入射次元が一致してもCの左右入射次元が一致するとは限らない(但し例は少ない。多くの例をつくることが求められる。) (2)に関して微分多項式環の部分多元環として以下のような興味深い多元環を構成した。 Rは可換環で標準加群(双対化加群のこ)Wを持つとする。YはR上の微分作用素とする。AはRとWから生成された微分多項式環の部分多元環とする。AにはYの次数に由来するorderフィルトレイションが入る。CをAとWのR上のテンソル積とすると,Aのフィルトレイションは自然にCのそれを誘導し,付随するR加群はWに戻る。このことと上記(1)からCがA上の両側双対化加群であることが結論付けられる。さらに,このCは入射次元有限になり,左右の入射次元が一致している。
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