研究分担者 |
兼田 正治 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (60204575)
住岡 武 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 助教授 (90047366)
河田 成人 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 助教授 (50195103)
加戸 次郎 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 講師 (10117939)
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研究概要 |
1.加法圏に対する被覆理論1つの体kを固定し,圏はすべてk線形で,どの2つの対象に対しても一方から他方への射全体のなすベクトル空間はん上有限次元であるとする.多元環の表現論における被覆理論では,これまで扱う圏は次の2つの条件を満たすものと仮定していた:(1)異なる対象は非同型である.(2)各対象の自己準同型環は局所環である(従って各対象は直既約である).また,群の圏への作用は,(a)局所有界であり,(b)自由作用であることを仮定していた.この設定では,導来圏を扱う場合非常に不便であるため,まず,これらの条件(1),(2),(a),(b)を全く仮定しない一般的な被覆理論を作り上げた. 2.導来圏への応用.この一般的な被覆理論を用いて,導来同値のための被覆理論を精密化した.すなわち,「局所有界圏R(例えば,有限次元多元環)とその自己同型群Gに対して,GがRに自由に作用するとき,標準的ガロア被覆π:R→R/Gのpush-down関手π.は,有限生成射影R加群のなす有界ホモトピー圏から有限生成射影R/G加群のなす有界ホモトピー圏へのG前被覆となる.」という定理が得られた.これまでは,Gの作用は,(c)有限生成射影R加群のなす有界ホモトピー圏の直既約対象の完全代表系にも自由に作用する,という仮定を必要としていた.また,結論も,有限生成射影R加群のなす有界ホモトピー圏の直既約対象の完全代表系を固定し,Gの作用もそれに合わせて変形する必要があった.この定理により,これまでの導来同値のための被覆理論の定理から仮定(c)を取り除くことができた.
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