研究概要 |
平成17年度に実数の組合せ論的構造やその強制法との関係等の集合論の分野に重点をおき、特に、P(ω)/finや類似な構造の分配性数に焦点を絞って研究を行った。Aをブール代数とするとき、その共通部分が稠密でないA\{0}の稠密な開集合からなる族の最小な濃度をAの分配性数h(A)という。 (1)Distributivity numbers.フィルターFの付いたLaver強制法L_Fの有限台反復法を用いることによって、Cをコーエン代数とするとき、h(P(ω)/fin×P(ω)/fin)<h((C^ω/fin)の無矛盾性(つまり、h(C^ω/fin×(C^ω/fin)<h(C^ω/fin)の無矛盾性)を証明し、Alan Dowの問題を解いた。P(ω)/finの完備化が自然数ωのStone-Cech remainder ω^*=βω\ωの正則開代数であり、C^ω/finの完備化が実数RのStone-Cech remainder R^*=βR\Rの正則開代数であるため、集合論的トポロジーにおいても興味深い結果である。特に、上記のモデルにおいてR^*とR^*×R^*という空間は双対絶対でない。 (2)Groupwise density numbers.部分族D⊆P(ω)/finがgroupwise denseとは、Dが開族かつ、任意のωの有限区間への分割I_n:n∈ωに対して∪_<n∈A>I_n∈Dを満たす無限集合A⊆ωが存在するときにいう。また、その共通部分が空集合であるgroupwise denseな集合からなる族の最小な濃度をgroupwise density number gという。g_fをイデアルに対するgroupwise density numberとするとき、g<g_fが無矛盾であることを示し、Heike Mildenbergerの問題を解決した。u<g_fと同値であるフィルター二分法という原理とuくgが同値かどうかという周知の問題を明らかにした。 (3)Frechet ideals.Lを自然数ω上のイデアルとするとき、任意のα∈Aに対してI∩aが空集合でないI∈Lが存在するようなA⊆[ω]^<<ω>\0から生成される[ω]^<<ω>上のイデアルをL^<<ω>という。またLがフレシェとは、任意のL-正の集合Xに対して、全てのLの元からalmost disjointとなる無限部分集合Y⊆Xが存在するときに言う。Michael Hrusak(Morelia,メキシコ)との共同研究では、「そのキャラクタがω_1である全てのイデアルに対して、L^<<ω>がフレシェでない」という命題の無矛盾性を得た。「全ての可算なフレシェ群が距離づけ可能である」ことが無矛盾かどうかという周知の集合論的トポロジーにおける問題と密接に関連している。
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