研究課題
平成18年度は実数の組合せ論的構造やその強制法との関係等の集合論の分野に重点をおき、特に、実数を付け加える強制法の新しい反復技法の開発に焦点を絞って研究を行った。(1)Homogeneity properties of product-like models.渕野昌(中部大学)との共同研究では、多数の自己同型を許容する(すなわち、非常に等質である)半順序によるgenericな拡大において成り立ついくつかの組合せ論的原理を調べた。そのような半順序は、コーエン強制法などのように互いに同型な小さい因子からなる大きな積として表現できるものを含むが、積として表すことができないランダム強制法なども非常に等質である。この研究で導入された新しい原理の一つであるhomogeneity principle HP(κ)とは、任意の関数f:κ→P(ω)と実数の1対1の有限列からなる任意の定義可能な集合Aに対して、全てのf"Sの1対1の有限列がAに属するような定常集合S⊆κが存在するか、全てのf"S_0×...×f"S_<κ-1>の1対1の列がAに属さないようなk【greater than or equal】1と定常集合S_0,...,S_<κ-1>が存在するかのどちらかが成り立つときをいう。特に、HP(κ)ならば長さκの定義可能な整列順序は存在しない。HP(κ)が成り立つとき、Juhasz, SoukupとSzentmiklossyによって導入された組合せ論的原理C^S(κ)も成り立つことを示し、また、コーエンモデルのような積によるモデルにおいてHP(N_2)が成立することを証明した。しかし、前者の結果によってランダムモデルにおいてHP(N_2)が成り立たない。さらに、HP(κ)のbounding number、dominating numberやその変形との関係について研究を行った。(2)Ultrafilters and mad families.可算反鎖条件cccを満たす強制法における洗練された反復の技法を用いることによって、「可測基数の存在が無矛盾ならばu<aも無矛盾である」というShelahの結果の新しい証明を得た。ここで、uがultra filter numberで、aがalmost disjointness numberである。u<aがZFCのもとで無矛盾である(すなわち、可測基数が必要でない)ことの証明への一歩である。
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