研究課題
基盤研究(C)
コンパクトなリーマン多様体上のブラウン運動に沿っての1次の微分形式の確率積分を考える。これから定まるカレントに対する大偏差原理に関しては、従来あまり研究が行われてこなかった。そこで、ここでは大偏差原理をできるだけ明確な形で定式化することを第一の目的とした。このために、カレントのみではなく、カレントとブラウン運動の道による経験分布との同時分布に対する大偏差原理を考えた。その結果大偏差原理の速さ関数がかなり明確になったが、ここでは更に議論をつめることで、速さ関数を明示的に与えることができた。また、大偏差原理を扱うときのカレントの空間の位相に対する考察を行った。従来は二乗可積分性による位相をカレントの空間に入れていたので、リーマン多様体の次元に依存した位相を考えていた。ここでは、新しく評価をあたえることあで、多様体の次元によらない位相ををいれることに成功した。多次元ランダム媒質中の拡散過程に関しては、多次元ブラウン運動、反射壁ブラウン運動媒質中の拡散過程の再帰性、非再帰性を調べた。また、媒質の研究に関連して、次の結果を得た。半空間上の吸収壁を持つ一般の多次元のレヴィ過程のグリーン関数を扱った。以前求めていた吸収壁を持つ多次元レヴィ過程のウィナー・ホップ型の表現定理を用いて、グリーン関数の道による分解表現を与えた。これを応用して、今まで知られていなかった半空間上の回転不変な吸収壁安定過程のグリーン関数を明示的に与えることができた。また、一般のレヴィ過程の分布の構造を調べるために、分布の分類を行い、それらの特徴づけを行っている。また、1次元のランダム媒質過程に対しては、正の部分と負の部分で別の自己相似性を持つランダム媒質中の拡散過程に対して、極限定理を得ることに成功した。
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