研究概要 |
(1)多様体を2つの連結成分に分割したときに、与えられた自己共役楕円型微分作用素の一径数族のスペクトル流は共通の境界多様体上での自己共役境界条件をそれぞれに仮定することにより、それぞれのスペクトル流の和と誤差項としてのHormander指数とで表されることを示した。大域的境界条件とコーシーデータ空間の関係を無限次元でのHormander指数で表現しその幾何学的役割を明らかにした。(2)3次元のSpherical space formの一部とlens空間上のLaplacianのzeta-regularized determinantの積分表示式をEgami's interpolation methodを応用することにより、Hurwitz zeta関数との関連する形で得た。この結果は、C.NASH AND D.O'CONNOR;Determinants of Laplacians on lens spaces,(J.Math.Phys.36(3),1462-1505,(1995)),で3次元のレンズ空間にたいして与えられた結果の拡張である。ここでの問題点は固有空間の次元を計算することであるが、A.IKEDA;On the spectrum of a Riemannian manifold of positive constant curvature(Osaka J.Math.17,75-93,(1980))で示されている固有値重複度の母関数と留数解析により具体的に計算することが出来た。また、これらの研究を通じてLaplacianの場合だけでなくsub-Laplacianに対する計算可能性を見ることが出来た。(3)一般に再生核を持つヒルベルト空間を含むヒルベルト空間があればToplit operatorやHankel operatorを考えることが出来る。この状況の下でBerezin変換のベキの性質を調べて、Hankel operatorがHilbert-Schmidt operatorとなるsymbol classを決定し、この結果を強擬凸領域上のBergman空間、Fock空間、Quadrics等の場合に適用した。(4)Beals-Gaveau-GreinerによるComplex Hamilton-Jacobi methodによる一般の2-stepベキ零Lie群上のsub-Laplacianの熱核の構成は画期的である。本研究ではこのcomplex hamilton-Jacobi methodのmechanismを明確にして、3-step以上との違いの理解を得た。これにも基づき、高次のGrushin operatorのbicharacteristic flowの初期値問題を論じた。特に3-stepの場合は楕円関数がbicharacteristic flowの表示に深く関連することが分かった。
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