本研究では、沿岸捕捉波を精度良く予測するため、モニタリングシステムの開発とデータを数値予報モデルへ組み込むためのアルゴリズム開発を平行して実施している。 1.再現・予報モデルの開発 予報精度の向上には、高分解能化を進めることが不可欠であるが、それと同時に生じる計算負荷を抑える必要がある。本研究では、これまで申請者らが急潮予報に用いている3次元レベルモデルに改良を加え、計算負荷の少ない計算アルゴリズムの開発研究を実施した。計算負荷の軽減には、順圧モードと傾圧モードの計算を異なる時間ステップで計算することが非常に有効である。しかし、当該研究で対象とする沿岸捕捉波は海面変位に伴う順圧モードの運動と海洋内部の傾圧モードの運動とが密接に関係しあうハイブリッド波である。そこで、各モードを異なる時間ステップで計算するための改良に加え、ハイブリッド波のモード間のカップリングを損なわない様にするための工夫が施された。これにより従来当該研究に用いていたモデルの10分の1の時間で数値解を得ることができるモデルが開発された。さらに、開発されたモデルの再現性を検討するために、相模湾および東京湾を対象海域として、風に対する応答および順圧潮汐による内部潮汐の生成について、モニタリングデータとの比較・再現性の確認が行われた。 2.モニタリングシステムの管理と取得データの公開 初年度に開発された準リアルタイムモニタリングシステムで得られるデータを、第一段階の予報として活用できるように、ホームページおよび携帯サイトへ公開するシステムを開発した。また、モニタリングシステムが安定して稼動するように、ブイシステムの点検・補修作業を実施した。
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