研究概要 |
1.中性子計測のためのガドリニウム装荷電離箱の製作と中性子線量率測定 ガドリニウムを装荷した電離箱で,電離体積8lの差動型放射線自動計測装置を製作した。ガドリニウム装荷のシンチレーション検出器は知られているが,電離箱では世界初である。この装置は電離箱の内部にガドリニウム板が装着可能で,電離箱の前面にはパラフィンブロックを置いている。この装置を用いて,九州大学工学部で,252Cfを線源として中性子の線量率を測定し,同時に市販のレムカウンターを用いて測定して,その結果を比較した。測定の結果,この装置で測定した値と,レムカウンターで測定した値とは,オーダーでほぼ一致した。今後,電源と電離箱及びガドリニウム板の幾何学的位置関係について,実験を重ね検討する。今年度までは,電離箱形式よる中性子線量計測装置の実用化に目処を立てることができた。この結果は,2008年度の春の原子力学会で発表し,大きな評価を受けた。今後は,さらに詳しいデータを取得し,またその検討を行い,2008年度は研究結果を関係学会に論文として投稿する予定である(現在投稿準備中)。 2.ガス状放射能の線量測定装置の製作とこれを用いたトリチウムガスの線量測定 イオン除去部やフィルターを備えた気体流入装置と差動型のガス状放射能測定装置を製作した。トリチュウムの法的規制値は1.3×10^<-16>Aであるが,この装置の検出限界は2.3×10^<-17>Aであるため,法的な規制値以下の測定が可能である。現在九州大学の放射線施設でトリチュウムガスの線量測定を行っている。予備実験で,施設内の大気を電離箱に導入し,バックグラウンドとの差からガス状放射線線量を測定したところ,10^<-16>Aレベルで正味の線量を測定できた。今後さまざまな条件の下で測定を重ね,論文として発表する予定である。
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