研究課題
本年度においては、主として発酵容器として500mlの三角フラスコを用いるモデル発酵を試みた。先ず、能代市下水処理施設から汚泥を採取し、グルコース、裁断ろ紙、結晶セルロース(アビセル)を基質として嫌気的にガス発生を行わせたところ、二次消化汚泥を用いた場合に良好なガスの生成が認められた。ガス分析の結果、発生ガス中ガス組成はメタンと二酸化炭素がほぼ同じ濃度であった。次いで、スギおよびブナ木粉(粒径2mm)を嫌気発酵したところ、ガスの発生がほとんど認められなかったことから、前処理の必要性が明らかとなった。前処理として、先ずスギ木粉をリファイナーにより種々の条件で解繊処理を行い、得られた処理木粉の発酵を行ったところ、過酸化水素などの酸化剤との複合処理によりガス発生の改善が認められた。さらに、ブナ木粉(粒径2mm)を高圧容器中で210℃において蒸煮処理を行い、嫌気発酵を行わせたところ、ガスの発生の向上が認められた。一方、スギ腐朽木からの分離菌株およびスギ木粉に良好な生育を示す選抜株による前処理効果を検討した。供試した菌株のうち、Coriolus hirsutus(アラゲカワラタケ)がリグニンおよびセルロースを非選択的に分解し、Coriolus consors(ウスバタケ)がリグニンをセルロースよりも良好に分解することを認めた。また、この両菌株を用いる2および6週間の処理により、スギ木粉からのガスの発生が改善されることが認められた。さらに、発酵容器のスケールアップのため10L容器を用いる汚泥の訓養を試みた。
すべて 2006 その他
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Biochemical Engeneering Journal 28
ページ: 30-35
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