研究概要 |
1)血液系培養細胞におけるIRF-2の高発現に対する影響---血液系細胞K562にIRF-2を高発現させ、細胞よりRNAを分取しRT-PCRを行い、種々の血液系因子の発現程度を検討したところ、CD41,mp1,GATA-2の発現の増加が見られた。このことから、IRF-2がこれらの因子を正に制御している可能性が示唆された。 2)血液系転写因子とIRFの相互作用の検索---IRF-2が造血系のどの因子を制御しているかを検討するため、GATA-1,NF-E2等を表的にそのプロモーター領域からISRE様の配列を検索した。ISRE様の配列をもとにビーズ結合アッセイを用いてIRF-2との結合性を見ると、CD41のプロモーター領域にIRF-2の結合が認められた。CD41をルシフェラーゼのレポーターにつなぎIRF-2とともに細胞に遺伝し導入すると、CD41プロモーター活性はIRF-2により上昇する事が認められた。このことからIRF-2はCD41をそのプロモーターを介して増加させることが明らかとなった。 3)IRF-2のレトロウイルスベクターの遺伝子導入---IRF-2cDNAをレトロウイルスベクターで構築した。マウスの骨髄細胞より、Lin-,c-kit+,Sca-1+細胞(KSL,stem cell)をセルソーターで分離培養し、レトロウイルスベクターIRF-2により、IRF-2を高発現させた。細胞はサイトカインとともに培養し、MegaCult-C mediumによりCFU-Mkアッセイを行ってコロニー数を調べたところ、。IRF-2高発現細胞においてコロニー数が増加していた。 以上の結果からIRF-2はCD41の活性化を介して、造血幹細胞を巨核球に誘導促進する働きがあることが明らかとなった。
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