Fe65L2ポリクローナル抗体を3種作製し、Fe65L2の局在を調べたところ、細胞質分画と核分画の両方に局在していた。Fe65、Fe65L2の転写に与える影響をFe65、Fe65L2とGAL4のDNA結合領城を持ったコンストラクトとpG5CATをレポーターにしたCOS細胞での一過発現により調べたところ、Fe65では、GAL4依存的に転写の活性化が見られたが、Fe65L2では、むしろ転写の抑制が見られた。次にFe65L2と結合する蛋白を酵母ツーハイブリッド法によりスクリーニングしたところ、得られたクローンのなかにリン酸化依存的に転写、スプライシングに影響を及ぼす転写因子があった。Fe65L2及びこの転写因子の種々の欠失変異体を用い、酵母ツーハイブリッド法による双方の結合領城、COS細胞をもちいた一過発現によるGAL4依存的な転写制御に関わる領域を調べたところ、Fe65L2のWWドメイン、PIDを含む領域がそれぞれこの転写因子に結合し転写に影響することが示唆された。またGST融合蛋白を用いたプルダウン法、Fe65L2を強制発現させたCOS細胞の抽出液を用いた免疫沈降によりこの結合を確認したところ、Fe65L2は、この転写因子の脱リン酸化フォームと優先的に結合することがわかった。今後はFe65L2がこの転写因子のリン酸に及ぼす影響を調べるとともにFe65L2が核内で他分子と複合体を形成しているか検討し、Fe65L2により転写制御される遺伝子群の同定を行い、認知症患者でこれらが変動しているか検討を行う予定である。
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