研究課題/領域番号 |
17591316
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
稲垣 光裕 旭川医科大学, 医学部, 講師 (80261410)
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研究分担者 |
葛西 眞一 旭川医科大学, 医学部, 教授 (40091566)
小川 勝洋 旭川医科大学, 医学部, 教授 (50045514)
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キーワード | 骨髄幹細胞 / 無アルブミンラット / 肝非実質細胞 / restrorsine / 70%部分肝切除 / PCR / CCl_4 |
研究概要 |
我々は以前より無アルブミンラット(F344alb)を用い、アルブミン産生能力のある正常ラッと(F344)骨髄由来細胞を移植し、宿主肝臓内にてF344骨髄由来細胞から肝細胞への分化・誘導する移植モデルを開発・報告してきた。今年度は、自己細胞供給源を検索するため肝臓の非実質細胞(LNPCs)に着目し、放射線全照射後のLNPCs移植実験を試み、以下の結果を得た(Eur Surg Res 2006;38:533)。 1)LNPCs中には、骨髄幹細胞機能を有する細胞群が存在する。F344albに対し致死的放射線の全身照射後、F344の肝臓から分離したLNPCsを静脈内に移植すると宿主骨髄機能が回復し、生存率が著名に改善した。 2)このキメララットを用いて、LNPCs移植後のF344alb宿主肝臓内を検索すると、アルブミン産生クラスターの形成がみられ、このアルブミン産生細胞群(クラスター)がdonar F344由来であることを確認した。 この結果から、1)肝臓のLNPCsに骨髄由来幹細胞機能を有する細胞が存在すること。2)LNPCs移植により置換したF344alb骨髄細胞群にはいわゆる幹細胞が存在し、以前のF344-F344alb骨髄移植モデル同様に少数ながら宿主肝臓内にアルブミン産生クラスターを形成していた。これより、この幹細胞は宿主肝臓内にて肝細胞へと分化する能力を有することを示した。 現在、以下の項目については継続して検討をしている。 1)骨髄幹細胞の培養・分離のためのラット骨髄由来細胞の培養条件を検討中である。 2)性肝障害モデルとして 1)CC14をF344albに投与すると、投与回数が多くなるにつれ肝臓内にアルブミン陽性細胞が散在的に出現するため、幹細胞移植モデルとしては評価が困難であった。 2)Retrorsine探与・70%部分肝切除モデルを用いた肝再生抑制モデルを再現し、骨髄移植効果の検討を開始した。 3)肝線維化・発癌のため報告されているさまざまな化学薬品と投与するとF344alb肝臓内にアルブミン陽性細胞が散在性に出現してしまうため評価が困難であった。現在、評価可能な化学薬品および肝線維化・発癌のプロトコールを検討中である。
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