研究課題/領域番号 |
17591327
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
飯沼 由嗣 京都大学, 医学研究科, 助教授 (90303627)
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研究分担者 |
一山 智 京都大学, 医学研究科, 教授 (30223118)
高倉 俊二 京都大学, 医学研究科, 助手 (10378630)
斉藤 崇 京都大学, 医学研究科, 助手 (40422977)
藤原 尚子 京都大学, 医学研究科, 助手 (30402853)
尾池 文隆 京都大学, 医学研究科, 助手 (20324650)
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キーワード | 生体肝移植 / synbiotics / probiotics / prebiotics / 免疫亢進栄養剤 / 周術期感染予防 |
研究概要 |
生体肝移植は、腸管及び肝臓の非常に高度かつ複雑な手術手技を必要とするため、周術期感染症発症率もその他の腹部手術に比べ高い。周術期感染予防に有効と考えられている(1)周術期抗菌薬(CTX+ABPC)のほか、最近では経腸栄養剤の効果も期待されている。そこで我々は、更なる感染予防効果を期待して、(2)免疫亢進栄養剤、(3)synbiotics(probiotics即ち腸内細菌叢を整える微生物+prebiotics即ちprobioticsの発育を促進する食物繊維類)を併用し、その有効性を評価することとした。なお免疫亢進栄養剤としてはインパクト(味の素)を、またsynbioticsは安全性の確立しているラクトプラス(サラヤ)を使用することとした。 対象患者は、京大病院肝胆膵・移植外科で生体肝移植を予定している患者のうち文書による同意が得られ、血液型不適合、重度の臓器障害等の除外基準に当てはまらない18歳以上の患者。MELD scoreによる層別化後、(1)従来周術期管理群(A群;周術期抗菌薬+術後従来型の経腸栄養剤による栄養管理)、(2)免疫亢進栄養剤投与群(B群;周術期抗菌薬+術前後免疫亢進栄養剤による栄養管理)、(3)synbiotics投与群(C群;周術期抗菌薬+術前後免疫亢進栄養剤+synbioticsによる栄養管理)の3群にランダム割り付けを行った。症例毎に、感染リスクファクターの把握、感染症サーベイランス、合併症、予後、抗菌薬使用量等の調査を行った。解析が完了した11例では、C群の3例中1例に術後創部感染が発生し、A群6例中2例に耐性菌の獲得がみられた。またA群の2例には、出血と拒絶の非感染合併症がそれぞれ1例ずつみられた。B、C群に投与薬剤に関連すると考えられる副作用はみられなかった。来年度も研究を継続し、目標症例(各群35例)のエントリーと包括的周術期感染予防策の確立を目指す。
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