研究課題/領域番号 |
17591327
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
飯沼 由嗣 京都大学, 医学研究科, 准教授 (90303627)
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研究分担者 |
一山 智 京都大学, 医学研究科, 教授 (30223118)
高倉 俊二 京都大学, 医学研究科, 助教 (10378630)
斉藤 崇 京都大学, 医学研究科, 助教 (40422977)
藤原 尚子 京都大学, 医学研究科, 助教 (30402853)
尾池 文隆 京都大学, 医学研究科, 助教 (20324650)
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キーワード | 生体肝移植 / 周術期感染予防 / 免疫亢進栄養剤 / synbiotics / 血流感染 / アスペルギルス感染症 / サイトメガロウイルス感染症 / リスク因子 |
研究概要 |
生体肝移植は、腸管及び肝臓の非常に高度かつ複雑な手術手技を必要とするため、周術期感染症発症率が高い。そこで我々は、他の手術手技で感染予防効果が報告されている、免疫亢進栄養剤とsynbioticsの周術期投与による感染予防効果を評価することとした。同時に、01〜02年実施のSSIサーベイランスデータに基づき、周術期抗菌薬を標準的な薬剤であるCTXとABPCの併用に変更した影響を術後血流感染で評価した。更に、予後に大きな影響を与える感染症であるアスペルギルス症(Aspergillosis)とサイトメガロウイルス感染症(CMV)についてリスク因子の検討を行った。免疫亢進栄養剤とsynbioticsの周術期投与については、protocol通りの薬剤投与が困難なことが多く、感染予防効果の評価に足る症例数がentryできなかった。しかし明らかな副作用は見られず、感染予防に十分期待が持てることより、投与protocolを修正し新たなstudyを計画する予定である。移植術後1ヶ月間の血流感染については、2005年〜06年の移植100例あたりの発生率は、03〜04年と比較して21.9から13.9へと37%の減少となった。さらに菌種別では、MRSA(7→2)、Enterobacter(7→1)など耐性菌の感染者数が著減しており、周術期抗菌薬の変更の効果が伺われる結果となった(京都肝移植周術期研究会発表、2008)。またAspergillosisのリスク因子としては、術前の集中治療室管理とステロイド投与が有意な因子となった。原疾患では劇症肝炎を対象とした肝移植が有意な因子となった(Liver Transpl, 2007)。CMVに関しては、Aspergillosisと同様に、劇症肝炎を対象とした肝移植が多変量解析で有意な因子となった(Transpl International, 2007)。以上より、AspergillosisおよびCMV感染のハイリスク因子を持つ患者については、予防あるいは積極的なスクリーニングに基づく早期治療が必要であると考えられた。
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