研究分担者 |
三宅 洋一郎 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (80136093)
安孫子 宜光 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (70050086)
樋口 富彦 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50035557)
桑原 知巳 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (60263810)
村上 圭史 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (10335804)
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研究概要 |
本年度は付着と抗菌薬抵抗性のメカニズムを解明するために,臨床的に重要な緑膿菌について抗菌薬抵抗性とストレス応答について検討を行い以下の成果を得た. 1.臨床分離株におけるtcp遺伝子の関与について:緑膿菌tcp遺伝子はカルバペネム系抗菌薬感受性に関与していることを明らかにしてきたが,今回さらにニューキノロン系およびアミノグリコシド系抗菌薬感受性にも関与しており,tcp knockout変異株ではこれらの薬剤に対する抵抗性がそれぞれ25倍および1000倍高いことが明らかになった.さらに遺伝子バックグラウンドの異なる臨床分離株においても,tcp遺伝子はカルバペネム感受性化に影響を及ぼすことが示唆された. 2.bta遺伝子の付着による発現誘導:bta遺伝子はこれまでに付着細菌における抗菌薬抵抗性に関与していることを明らかにしている.bta::ΩGm変異株を作製しbiapenemのMICおよびMBCを測定したところ,定常期および対数期いずれも親株に比べ低下していた,また浮遊菌および付着菌からmRNAを抽出しリアルタイムPCRによりbta遺伝子の発現量を測定したところ付着菌における発現は浮遊菌の6.7倍を示し,bta遺伝子は付着により発現誘導され可能性が示唆された. 3.抗菌薬によるrpoSプロモーターの活性化:定常期ストレス応答の調節遺伝子rpoS遺伝子が浮遊菌における抗菌薬抵抗性に関与していることが判明しているため,ある種の抗菌薬はそれ自体がストレス応答の引き金になっているのではないかと推察し,rpoS遺伝子プロモーター活性をモニタリングするためのプラスミドを作製し,抗菌薬によるrpoS遺伝子の発現誘導について検討した.その結果biapenemおよびofloxacinはrpoSプロモーター活性を上昇させることが示唆された.
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