研究概要 |
破骨細胞で発現する転写制御因子OCZFを破骨細胞特異的に発現させるためにマウスゲノムよりカテプシンKプロモーター(全長2057b)をクローニングした。さらにその転写活性について検討するために、プロモーターの2057bの5'末よりdeletion plasmidを作成し、それぞれ1676,1382,1085,666bのルシフェラーゼプラスミドを作成し、マウスマクロファージ細胞RAW264細胞にtransfectionし破骨細胞分化因子RANKLの存在下、非存在下における転写活性について調べた。その結果、1676bのプロモーターがRANKL非存在下、存在下において最も高い転写活性を有することが分かった。そこで、この系に破骨細胞の分化に関与する、NFAT,PU.1,MITFの転写因子などの転写因子の発現プラスミドを同時にtransfectionしてその転写活性について検討したところ、PU.1によって顕著に転写活性が促進されることが判明した。そこでこのプロモーターを用いてOCZFcDNAとさらにその3'末端にはIRESを用いてバイシストロニックに蛍光タンパク質EGFPを発現させるベクターを作成した。トランスジェニックマウスの作出は日本エスエルシーに委託した。BDF1(C57BL/6とDBAの交雑群)マウス受精卵200個に遺伝子を導入した結果、68匹(33%)のマウスが生まれた。そのうち66匹のマウスの尾よりゲノムDNAを抽出しPCRおよびSouthern解析によりTgマウスの同定を行った結果、20匹(68匹の29%)マウスにトランスジーンの導入が同定された。ファウンダーマウスをC57BL/6マウスと掛け合わせてF1マウスを作成し、F1マウスのTgマウスから骨髄細胞を単離し、OCZFの発現レベルを抗OCZF抗体及びPCRにより解析した。その結果、発現の高いマウスの系統を選んだ。現在これらのマウスの破骨細胞の分化や、骨のX線解析、骨密度等の測定、組織学的な解析を行っているところである。
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