研究課題/領域番号 |
17591947
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
機能系基礎歯科学
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
北田 泰之 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (80018423)
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研究分担者 |
成田 欣弥 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (40291083)
赤羽 和久 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (70160801)
深見 秀之 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (30382625)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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キーワード | 味覚受容 / 味細胞のタイプ / 膜電流 / 味覚刺激 / 細胞内Ca^<2+>動態 / カエル |
研究概要 |
味蕾は味細胞を含む数種類の細胞タイプから成る。カエル味覚器内細胞のIb型、II型およびIII型細胞の3種類の細胞は興奮性細胞であり、外部形態から細胞タイプを同定できる。本研究ではウシガエル味覚器を切断したスライス標本を用い、蛍光色素をパッチ電極内に入れ形態学的に味細胞タイプを同定し、その味細胞に味覚刺激を与えた時の膜電流変化を測定する。また、パッチ電極内にカルシウム蛍光プローブ試薬を入れ、共焦点レーザ顕微鏡により細胞内Ca^<2+>濃度の測定を行う。味覚刺激による膜電流および細胞内Ca^<2+>濃度変化の成因を探ることから、味細胞タイプの違いによるそれぞれの味覚受容機構を明らかにする。外液を高K^+にし細胞を脱分極すると、III型細胞にのみ細胞内Ca^<2+>濃度の増加が見られた。これはカエルではIII型細胞にのみ電位依存性Ca^<2+>チャネルが存在するとした我々の以前の報告に一致する。スライス標本の味細胞先端受容膜近辺に味覚刺激液を噴射し、3種類の細胞で味覚刺激液の効果を調べた。苦味(キニーネ)刺激でIb型およびII型細胞に内向き電流が生じ、細胞内Ca^<2+>濃度が増加したが、III型細胞ではそのような変化は見られなかった。外液をCa^<2+> freeにした実験から、苦味刺激で増加したIb型およびII型細胞の細胞内Ca^<2+>は細胞内Ca^<2+>ストアーからもたらされることが分かった。また塩化物(Ca^<2+>やNa^+)噴射刺激ではIII型細胞にのみ脱分極電位と細胞内Ca^<2+>濃度の増加が観察された。高K^+の実験から、塩化物刺激による細胞内Ca^<2+>濃度の増加は外部のCa^<2+>からもたらされたものと思われる。本実験から次のことが結論される。化学シナプスの形成はIII型細胞にのみ報告されていることから、Ca^<2+>(あるいはNa^+)の味覚情報はIII型細胞からシナプス伝達を経て中枢へ伝えられる。しかし、シナプス形成が観察されないIb型およびII型細胞がどのようにして苦味情報を味覚神経に伝えるのかまだ不明である。今後明らかにしなければならない大きな課題である。
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