1.看護職者の生涯学習の現状と、潜在的な学習ニーズ調査 対象は福島県、愛知県、岡山県、北海道の病院に勤務する看護師であり、病院の選定には、(1)看護部に明文化された職員研修プログラムがあること、(2)現在または過去に職員を現職のまま通信、または夜間大学院に進学させた実績があること、(3)面接調査実施に関し病院長の承諾が得られること、を条件とした。依頼は各道県の看護協会を通じて行い、各病院看護部から対象看護師へ研究趣旨の説明文を配布してもらい、自発的な研究協力の申し出があった者を対象者とした。対象者数は合計96名であった。 方法は半構成式の面接とし、看護職者の生涯学習の現状と、潜在的な学習ニーズを明らかにする目的で、基礎教育終了後の生涯学習への取り組み、学習のニーズと進学の希望、学びたい学習内容、進学を促進する要因と障害する要因とした。 その結果、大学院への進学希望は30%であり、専門看護師資格の取得と、研究方法の学習へのニーズが高かった。その一方で、実際に進学を計画している者は8%に過ぎず、職場の理解、家族の理解、経済的基盤、時間の不足、学力への不安などが障害要因となっていた。 2.病院看護部管理者の大学院進学への意識調査 対象は研究1と同病院の看護部長、または副看護部長であり、11名を対象者とした。 方法は半構成式の面接とし、現在または過去の進学者に対する経験について語ってもらった。その結果、進学を応援し現職のまま進学できるよう支援しているが、両立には仕事第一、学業第2という意識が必要であり、学業のために仕事がおろそかになると周囲の協力が得にくくなり、最終的に学業の継続が不可能になるか、離職することになる例を全員が経験していた。その一方で大学院修了者への期待は大きく、とくにCNSとしての実践能力を発揮してほしいと期待していた。
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