研究概要 |
廃棄バイオマスに由来した液肥の種類,品質,使用法に関するデータベース化の一貫として、福岡県築上町(旧椎田町)において、屎尿を材料とした液肥の肥効特性を調査した。調査対象地は、水田および大麦栽培圃場とし、アンモニア態窒素、硝酸態窒素及びリン酸の土壌中の動態および残存量を側定した。その結果、アンモニア態窒素およびリン酸については、土壌中に留まり圃場外へは流失しないことが確認された。しかし、硝酸化性が進むことにより、硝酸態窒素の流出や脱窒が生じ、窒素の肥効が低下することが確認された。 肥料散布方法の調査として、専用機械を用いた直接散布、流し肥、ホースを用いた散布を対象にした調査を実施し、散布面積、必要人員、効率に関する類型化を実施した。その結果、専用機を利用した散布では10aあたり5トンの液肥を15〜20分で散布できることが判明した。また、ホースを用いた散布の場合であっても、一日35トンの散布が可能であった。以上より、液肥の生産量に見合った散布能力を確保することが液肥利用の成否を分ける要因となることが明らかとなった。 福岡県築上町(旧椎田町)において実施されている液肥循環システムについて、町の子どもたちが理解し、その農業についてよく知り、さらに食生活改善につなげることを目的として、小学校5,6年生を通した循環授業プログラムに作り上げ、その効果を測定した。また、循環授業を、循環型社会を形成するための啓発事業として位置づけ、その手法および成果について事業評価をおこなった。また、地産地消を循環型社会の重要なテーマとして、その教育手法(食育)について、調査をおこなった。 地域における循環型社会の成立条件を解明するため、長崎県北松浦郡小値賀町にて離島の地域循環システムに関する調査を行い、その実態と離島の地域循環の成立条件について明らかにした。
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