研究概要 |
本年度は、新規フッ素化合物とモデル膜構成成分(DDPC)の二成分系の基礎物性を界面科学的に明らかにした。結果を以下に示す。 1)新規フッ素化合物の合成:新規フッ素化合物による薬物送達システムを考慮し,一分子内に炭化フッ素鎖と炭化水素鎖の両性質を合わせ持つ新規フッ素化合物Sodium phenyl 1-[(4-perfluorohexyl)-phenyl]-1-hexylphosphate F6PH5PPhNa:(F6)、Sodium phenyl 1-[(4-perfluorooctyl)-phenyl]-1-hexylphosphate F8PH5PPhNa:(F8)を設計,合成物を得た。 2)Langmuir膜の基本物性測定の結果各系において次のことが明らかになった。 2-1 : F6PH5PPhNa:(F6)とF8PH5PPhNa:(F8)純成分の比較 気/水界面におけるF6PH5PPhNa:(F6)とF8PH5PPhNa:(F8)のLangmuir膜としての安定性は、F8が安定であったが、外挿値分子面積には特異的な差は見られなかった。 2-2 : F6PH5PPhNa:(F6)/DPPCとF8PH5PPhNa:(F8)/DPPCの各2成分系 2-2-(a).両系において相転移圧と崩壊圧を基に二次元の相図を作成した。これによるといずれの系も0【less than or equal】X【less than or equal】0.3の範囲において正の共沸混合物を形成し、それ以降のモル分率は理想曲線と一致する二つの領域に分けられた。 2-2-(b).両系の混和性は相転移圧、崩壊圧、蛍光顕微鏡画像、原子間力顕微鏡の結果より支持された。 2-2-(c).F8PH5PPhNa:(F8)はF6PH5PPhNa:(F6)よりDPPCのLCドメインを分散させることが明らかとなった。(K.Hoda et al., Colloids Surf.B, 47, 165-175, (2006))
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