高速な自由表面現象として、浮体の自由表面への突入に伴うスプラッシュ現象や高速船まわりのスプレイ現象がある。模型試験により、特に小型の模型を用いてこれらの現象を可視化したとき、明らかに実際の現象とは異なって見える。例えば、波形が滑らかに見えたり飛沫の飛び方の様子が異なって見えたりする。自由表面現象は一般に重力によって支配されているが、スケールの小さな現象に対しては表面張力が支配的になる場合がある。本研究では、小型模型まわりの高速自由表面現象の相似則に対する表面張力の影響として、水面への突入によるスプラッシュを対象に、相似模型に基づく実験的研究を実施する。コストや実験設備等の関係から実験は小型の模型で実施されることが多いが、本研究により小型模型による実際現象の把握が可能になることが期待される。 本萌芽研究では研究内容を高速自由表面現象のスプラッシュ現象に絞って実施している。本年度の研究内容は概ね ・自由落下模型による2次元スプラッシュ現象実験装置の計画・作成 ・シリーズ小型相似模型(当初は単純な三角柱模型)の計画・作成 ・スプラッシュ現象の可視化方法および高速度カメラによる撮影方法の検討 ・界面活性剤を利用した表面張力除去手法の適用に関する検討 ・単純相似模型に基づく解析と相似則への表面張力影響の解析 ・スプラッシュ現象の高精度解析手法の検討 であり、スプラッシュ現象を支配するパラメータとしてフルード数だけではなく、特に小型の模型の場合にはウェーバー数が重要になることを確認した。また、表面張力を無視できるウェーバー数の臨界値に相当するデータを得ることもできた。次年度にはさらに複雑な形状によるスプラッシュ現象について検討していく予定である。
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