インターロイキン21(IL-21)は多様な生物活性を示すサイトカインであるが、発現制御機構に関しては不明である。自己免疫性糖尿病を発症するNODマウスではIL-21の産生亢進が自己反応性T細胞の増殖に寄与する可能性が報告された。本研究ではNODマウスでのIL-21遺伝子の発現制御機構の解析、特にDNAメチル化によるエピジェネティックな制御系がどのように関わっているのかを糖尿病非発症マウスと比較解析した。 1.IL-21遺伝子プロモーター領域のCpGモチーフDNAメチル化の解析:CpGモチーフDNAメチル化は、遺伝子転写調節に影響を与えるエピジェネティックな要因として重要である。IL-21の転写活性化に対するDNAのメチル化の影響を解析するため、bisulfite処理法によりNODマウスと対照としてC57BL/6マウスのT細胞ゲノムDNAのCpGモチーフメチル化を解析した。いくつかのCpGメチル化パターンがNODマウスとC57BL/6マウスでは異なることが判明した。すなわちC57BL/6マウス由来のDNAではメチル化されていた領域がNODマウスではメチル化されていなかった。それぞれのIL-21遺伝子のプロモーター領域の塩基配列を解読したところ、このメチル化パターンの相違の多くはCpG部分の塩基変異が原因であることが判明した。 2.IL-21転写活性化に及ぼすCpGメチル化の解析:それぞれのマウスのIL-21遺伝子プロモーター領域をレポータープラスミドにクローニングした。in vitroでCpGメチル化したレポータープラスミドをマウスT細胞株に導入し、PMAとIonomycinで刺激し転写活性化を解析した結果、NODマウス由来のレポーター遺伝子活性化がC57BL/6マウス由来のものより2-3倍高くなることが判明した。現在そのメチル化部位に結合する転写調節因子を同定しようと試みている。
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